今月の言葉

2025年5月

 

人の喜びをさえぎっていると

妻や娘がハンドバックを買ってきて喜んでいる。それを見て、「よけいな物を買うな。3つも4つもあるじゃないか」と言う。それは妻や娘の喜びの否定でしょう。こういうことが多い。また家族の一人が夜おそく帰ってくると、「どこへ行っていたんだ」ととがめる。当人は友人と交流して楽しく帰ってきたのに、その喜びをさえぎってしまう。知らず知らずのうちにこういうことを繰り返しておりましょう。 夫が酒を飲んで帰ってきた。旅行しておみやげだと着物や帯を買ってきた。そのとき、ああうれしいと心から喜べるでしょうか。お酒を飲み、芸者をあげ、まだそのうえにおみやげまで買えてよかった、と喜べる妻は少ないと思います。お金を使い過ぎたということをとがめたくなるのですが、使ったお金はどこへも行きはしない。芸者さんが喜んでいる、料亭も繁盛で喜んでいる、みんなの喜びに回っているのだ―こう思えればよろしいが、やはりそうはいきません。 このように、人の喜びをさえぎっておりますと、交通事故の原因となります。それは事業で言えば資金の行き詰まり、人員の行き詰まりであって、すべての交流が進行せず止まってしまう。そうなると事業の破壊、事業のけが人が出てまいります。

(出居清太郎著『誠書』第1巻より)