お地蔵さんに手を合わせる
石のお地蔵さん、ひとことも語りません。晴れれば日に照らされ、降れば雨に濡れる。そういう一つの沈黙の存在に、道行く人は両手を合わせる。
手を合わせている人は、お地蔵さんに手を合わせているようですが、手を合わせている自分自身にも手を合わせている。こういう心の世界。これが誠の世界、「他自とも」の世界、己を虚しゅうした世界。
宗教というものは、このような心の世界を、「ほんとうにそうだ」と感じることを目的としているのではないだろうか。そんな気がします。
(I男 会員の手記を基に一部編集したものです。)