2024年9月
知恵をいただく
物よりも金よりも、知恵が尊い。ですから物や金をいただくより知恵をいただく方が尊いのであります。この知恵をいただくには己を虚しくして徳を積み及ぼしていかねばなりません。
人がこの世に生まれる時は、何よりも先に産声をあげます。言葉を出す。出す方が先であります。それから空気をいただく。いただく方が先でなくて、出す方が先であります。
誠を捧げて奉仕する、つまりまず差し上げる。そこで尊い知恵をいただけるのであります。上げてしまえばなくなる、あとでもしいただけなかったら困る、こういう考えはわがの意(我執、貪欲)を用いた考え方であります。 まず差し上げる。
上げるは敬うことになるのであります。ゆえに祖先を尊び、目上を敬い、恩人を心から尊敬していかねばなりません。親を否定し、恩人を否定し、神仏を否定していくならば、その人はいずれ知恵を失うことになってまいります。
よく、どうしてよいかわからないというのは知恵を失って迷っている姿であります。迷うのは全て物事の判断の知恵を失っているのであります。神の子としての自覚を得て、神の存在を知って、己の価値を知った時に、この知恵を頂いて、全ての物事を正しく判断させていただくのであります。
(出居清太郎著『誠書』第1巻より)