私はあなたから学びます
私が20歳前後の時です。姉が上京し、捧誠会に来ていますからと伝言があり、初めてご 本部に伺いました。ちょうど旧館の食堂に教祖様がおいでになり、姉が私を紹介してくれました。
教祖様は、「あなたの肩のところにお母さんの姿が見えますよ。あなたをいつも守ってくれていますね 今日から青年部にお入りなさい。これからは私から学んでください。私はあなたから学びます」とのお言葉をいただきました。びっくりし、「私が先生から学ぶことは多いと思いますが、先生が私から学ぶことは何もないと思います」とお答えしますと、「共に学ぶのですよ」とのお言葉でした。
ようやく今になって、「あなたから学びます」のお言葉の意味がわかってきました。教祖様は人の欠点を見てもその人を否定しないで、そこから人のあり方を学んでいかれるのですが、私はその人を否定してしまい何も学ばないと反省しています。
「魂は神から頂いている」―この教えには大変驚きました。入会する前は、自分の魂が「神の分けみ霊」などと考えたこともありませんでしたから、そこで初めて、自分を大切にし、人の役に立つ生き方をしようと考えるようになりました。
また「肉体は借りもの」の教えも大変驚きでした。それまで肉体は自分自身だと思い込んでいました。長く自分の肉体に劣等感を持ち続けていましたから、お預かりしている有難さを考えたこともありませんでした。常に自分に不満を感じていました。
今も劣等感から解き放たれることはありませんが、自分の徳分にふさわしい肉体をお借りしていると考えれば、有難いと受け取ることができると思っています。
教祖様がお亡くなりになる前、最後に私たちの支部にお越しいただいた時、子供と親の30人ぐらいの会員一人一人にお言葉をくださいました。
私の息子には、「良いお父さんですね。親孝行をしなさい。」娘には、「怒らないようにね。」当時娘は大変機嫌の良い子だと思っていましたので、意外なお言葉だと感じました。2人の子供に対するお言葉は、私に対するご指導と受け取りました。怒りが心にわくたびに、この時の教祖のお言葉を思い出します。夫には良い父親だと受けとめる努力を一生してきました。
私はご本部でお言葉を頂いていましたからこの時は何もありませんでしたが、ほとんどの母親が、「取り越し苦労をしないように」とのお言葉をいただきました。受験する大学は〇〇大学がよいですか、□□大学がよいですかと親子で何度も聞く方がいましたが、教祖は「私にはそれは響いてきません。音楽が好きなら好きな道に進みなさい」とお答えでした。
教祖がいらっしゃらない今、一番有難いと思うことは、教祖の残された本のどこを開いても、その時々の心の道筋を示していただけることです。
(S女 会員の手記を基に一部編集したものです。)